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心のつぶやきを吐き出す裏ブログです。
ブログのプロフィール
〈管理人名〉 O-bake

〈趣味〉 創作とクラシック音楽

〈主な内容〉
創作に関する覚書
ごくたまに掌編を掲載
テリトリーは童話からYAまで

〈お願い〉
時々、言葉が足りないために意味不明な文章があったり、攻撃的な文章がありますが、ここは毒吐き場なので、どうぞ見過ごしてやってください。

〈連絡先〉
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〈本家ブログ〉
びおら弾きの微妙にズレた日々
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『ちっちゃい君へ☆10のお題』
配布元 La・campanella ~ラ・カンパネラ~

4:うらぎらない心

「あたしがいい子じゃなかったから、しかたないの」
少女は、年のわりに貧弱な、あざだらけの身体を見下ろして言った。それはとりもなおさず、少女自身の身体。母親は、昨夜から連れの男と出かけたまま戻らない。その間に、彼女はひとりきり、ひっそりとこの世から去らなくてはいけなかった。
「こんな目にあわされて、まだそういうことを言うか?」
迎えにきた死神があきれ気味にたずねる。少女は同じ内容をくり返す。
「あたしがいい子じゃなかったから、罰を受けたの」
「まったく、罰を受けるなら親の方だろうが」
吐き捨てるようなつぶやきに、少女はびくんと反応した。
「お願い、ママは悪くないから! だからこらしめないで!」
険しくなった死神の視線を受けて、少女はあわてて母をかばう。
「ママね、いつも泣いてるの。あたしをぶってるときも、そのあとも。とってもかわいそうな人なの」
死神はもう何も言わなかった。少女の魂を、そっとこの世から切り離す。

たとえ母親が少女の遺体を川に投げ込んだとしても、この少女は母に情をかけ続けるに違いない。それを妄執というのか、あるいは慈悲というのか、一介の死神にはわかりかねたが。
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