長い付き合いの友人がいる。中学生時代のほんの一年間いっしょに過ごしただけなのに、その後も手紙のやりとりが続き、気がついたら２５年以上の付き合いになっている。

彼女には毎年、自分の作品が入った同人誌を送っている。けっしてすぐに読める分量ではないし、必ずしも面白いと言えないと思うのだけど、彼女なりにゆっくり丁寧に読み込んでくれて、近況とともに感想を送ってくれる。それもメールではなく本物の手紙で。

その言葉のひとつひとつが嬉しくて、心が温かくなるのは当然だとしても、内容にかかわらず泣けてしまうのはどうしてだろう。

彼女の言葉の中に遠い日の自分を見つけられるから、なんだろうか。失ったと思っていた日々がまた戻ってきたような錯覚を起こすからなんだろうか。

別名、ノスタルジィだね。

思えば、１０代以降、「本当に帰るべき場所がどこかにある」という郷愁をずっと心のすみに抱えてきたような気がする。どこで寝起きしていようが、ここは仮の住まい、みたいな感覚。でもそれが現実に存在する「どこか」でないのは確か。