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心のつぶやきを吐き出す裏ブログです。
ブログのプロフィール
〈管理人名〉 O-bake

〈趣味〉 創作とクラシック音楽

〈主な内容〉
創作に関する覚書
ごくたまに掌編を掲載
テリトリーは童話からYAまで

〈お願い〉
時々、言葉が足りないために意味不明な文章があったり、攻撃的な文章がありますが、ここは毒吐き場なので、どうぞ見過ごしてやってください。

〈連絡先〉
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びおら弾きの微妙にズレた日々
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『ちっちゃい君へ☆10のお題』
配布元 La・campanella ~ラ・カンパネラ~

10: いとしい存在

――さて、どうしたものか。

とある男の子の魂を拾いに来た死神は、いきなり突っぱねられた。

「行き先を教えてくれるまで、ぼく、ここから動かないからね」
強気な発言に、死神は苦笑する。いったん身体から魂が抜け出してしまった以上、そして死神が迎えに来たからには、この場にとどまるという選択はありえない。

「ぼく、ずっと考えてきたんだ。調子のいいときは忘れているほうが多かったけど、病気がひどくなって苦しくなるといつも考えてた。もし、死んでしまったら、ぼくはどうなるんだろうって。父さんや母さんは、はっきり教えてくれなかった。『かならず元気になるからそんなことをきいちゃいけません』て。おばあちゃんは、極楽っていうところに行くんだよって教えてくれたけど、カウンセラーの先生は『命のもと』がある場所へ行くんだよって言う。本を読んでも、たくさん行き先があってよくわからないんだ」
「これからわかるじゃないか」
「でも……」
「恐いのか?」
返事はないが、答えはイエスに違いない。死神はしばし考える。
「これから行く先は、少なくとも恐ろしくはない。それは保証する。ただ、楽しいかと聞かれたらそれはどうかと思うが」
「そこには誰かいるの?」
「もちろん。お前みたいな魂が山ほど。そして……」
「神さま?」
期待がこもった言葉に、死神はニヤリと笑う。悪巧みを考えでもするような、楽しげな雰囲気で。
「それはどうだか。大きな存在がいるにはいるが、簡単にひと言で表現できるようなものじゃない」
「それじゃ、わかんないまんまだよ」
「そうだな……。あえて簡単に言うなら『すべての魂をいとしく思う者』」
「本当? 証拠はあるの?」
「オレみたいな奴でも死神として働いてるんだ。なかなか度量の大きいボスだろう?」
「……」
 あっけにとられて隙だらけになった魂を、死神は素早く刈り取った。

――すべての魂をいとしく――その思いはどんな形にしろ、死神の仕事を請け負う者ならだれだって持っているんだぜ。

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