音楽のネタはたいてい表のブログに書くのだけど、今考えていることは表に出せるほどまとまっていないので、まずはここでつぶやいてみる。

ポップスをやっていると、よく８ビートとか１６ビートとかいって、１小節の間に何回音を打つかでリズムを分類したりする。クラシックでも、一つの音を４つに分けたり８つに分けたりして刻むことがよくある。
その効果は音の密度を濃くしたり、リズム感を出したり、ざわざわ感をだしたりと、いろいろ。

刻みの基本はインテンポ。４つだろうが６つだろうが、とにかく指示どおり正確に音を分割しなくてはならない。タカタカ、タカタカ……とか、タカタタカタ、タカタタカタ……。

しかし、人間のやることなので、メトロノームのようにはうまくいかない。どうしても身体の都合が出る。下げ弓はどうしても強くなり、上げ弓は弱く遅くなりがち。もちろんそうならないように訓練はするが、スピードが速かったり移弦がまじったりするとなかなか均等にはいかない。

今度は逆に、二分音符とか全音符など、長い音符の場合。これは伸ばしているうちにカウントを見失って正確な拍を見失ったり、隣の人といつの間にか長さがズレてしまいがち。

人間は機械じゃないので、正確無比にリズムを刻めるはずがない。

しかし、人は体内にメトロノームに匹敵する器官を持っている。
はい、心臓です。
それから呼吸のリズム。これも激しい心身の動きがなければ、まず一定。さらに心臓よりはずっと恣意的にリズムをコントロールできる。
少しスケールを広げて、睡眠の周期、食事の間隔などの生活リズム。
実は、人間はリズムの中で生きている。

というふうに考えると、音楽の持つリズムは音楽の鼓動、生命の動きと捉えることもできる。

すると、曲のリズムに乗って演奏するということは、自分の身体のリズムをその曲のリズムと一致させるという作業なわけ。その時に中心となるのが胸の中心、心臓や横隔膜のあるあたり。そこでリズムを捉えると、身体のコントロールがききやすいし、拍も見失いにくい。
心臓が絶えず一定のリズムで動いているように、身体の中心で絶えず見えないメトロ君をトコトコと鳴らすのだ。何人も集まって演奏する時は、全員が同じメトロ君＝リズム感を共有する。そうすれば音楽はばらけない。

そうやって放たれた音楽には必ず輪郭のはっきりしたリズムが宿り、生命力を持つようになる。