数日前、ついったーをやっていて面白いと思ったことがある。
「最近の若者が苦しんでいる原因のひとつに、〈夢〉を実現しなくてはいけないというプレッシャーがある」というコメントがあったので、それに反応して「本屋に行くと〈夢を叶える〉関連の本が大量にある」というつぶやきを残したら、これに違うフォロワーさんが反応して、今の世の中で夢の実現にうるさいのは「会社の成果主義の私生活版」かもしれないというコメントを頂いた。このコメントは目から鱗、クリティカルヒットだった。

ああそうか、今はそんな世の中なんだなぁと、興味深く実感する。
物質主義に反抗する動きは私が子どものころ（高度経済成長期直後）からあったわけで、次第に物質的じゃないもの（人の心に関連するものや世界）がもてはやされ、重視されるようになる。するとそこにマーケットができたとばかり、心理学関連の本や精神論、人生に対する考え方などが商品となって売り買いされるようになる。本来、物質的じゃなかったものが、商業ベースに乗ることで物質化してしまった。
今じゃ「夢」まで商品だ。いや、その前段階の「夢を持つ」方法までお金を払って手に入れる時代だ。

夢は自発的に湧いてくるものだし、必ずしも明確に夢を描いて実現しなくちゃいけないわけでもない。
なのに強制されたらつらいよなぁ。誰でもいい人生を送りたいとは思っているし、夢を抱いた以上は叶えたいけど、「それならこの通りにしなさい」とマニュアルをもらうのもなんだかなぁと思うのだった。

もうひとつ（続く）、

脳科学者で有名な茂木健一郎氏が「脱抑制」を提唱しているけれど、これも実は危険なワナだなぁと思う。ギリギリまで自分を追い込んで火事場の馬鹿力を発揮せよ、そうすれば脳はもっと力を発揮するというのだけども、本来馬鹿力が出ないのは、出さないことで心身のバランスを取っているわけで、バランスを保つためのタガをどんどん外しちゃったら、あとで大きな反動が来て苦しむんじゃない？　それを覚悟でタガを外すならいいけど、ただ能力アップできるかもしれないという可能性に目がくらんでリスクを見ずに自分を窮地に追い込むのはどんなもんだ？　と思うわけ。
地道な努力のできない人に限って、そういう一発逆転的な何かに頼ろうとするし。「脱抑制」は地力のある人限定の大技じゃないのかな。怠け者がそういう大技に憧れてはいけません。