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心のつぶやきを吐き出す裏ブログです。
ブログのプロフィール
〈管理人名〉 O-bake

〈趣味〉 創作とクラシック音楽

〈主な内容〉
創作に関する覚書
ごくたまに掌編を掲載
テリトリーは童話からYAまで

〈お願い〉
時々、言葉が足りないために意味不明な文章があったり、攻撃的な文章がありますが、ここは毒吐き場なので、どうぞ見過ごしてやってください。

〈連絡先〉
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〈本家ブログ〉
びおら弾きの微妙にズレた日々
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『ちっちゃい君へ☆10のお題』
配布元 La・campanella ~ラ・カンパネラ~

2:すなおな言葉

「もっと妹におもちゃを貸してあげればよかった。よく壊されたけど」
「もっとママのハンバーグをたくさん食べておけばよかった。よく焦げてたけど」
「もっとパパにサッカーを教えてもらえばよかった。からぶりのキックが多かったけど」
身体を離れたばかりの少年の魂は、家族のそばから離れられずに、ずっとそんなことばかりをつぶやいていた。
迎えにきた死神は、いきなり彼に触れることはせず、気の済むまでつぶやかせてやろうと、少しの距離を置いて、待ちの体勢に入る。どんな事情があるにせよ、最終的にはここから永久に去らなくてはいけないのだ。少しぐらい時間をやってもいいだろうと思う。
だが、その余裕も、次の言葉を聞くまでだった。

「さゆりちゃんにあやまっておけばよかった。優しくてかわいかったから、いつもイタズラばっかりしてたけど、本当は……」
「時間切れだ!」

大鎌でひと振り、死神は少年の魂をこの世から切り離した。言いかけの言葉は風に乗り、どこへとも知れず消えてゆく。
生きている間にすなおな言葉を口にできなかったのは、この少年だけではなかったらしい。
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