先月開催された女性セミナーに出席したところ、懐かしい友人に再会。数年前まで、同人誌活動をいっしょにやっていた友人で、今はふたりとも同人誌は抜けて、それぞれの生活で忙しい。

まあとにかく、ここで会ったのも何かの縁ということで、あらためてお茶でも、と友人宅に招かれた。

彼女は今、自分の何かを変えたくて、それまで続けてきた数々のサークル活動をいったん停止したところ。保育士のパートともう一つ、Ａｍｗａｙが彼女の生活の中心。

Ａｍｗａｙというのは、その企業の製品を買い続け、人にも勧めて買ってもらうことで、いくらかの金額がキャッシュバックされる仕組み。自分が勧めた相手がＡｍｗａｙ製品を買い続ける限り、キャッシュバックは必ず入ってくるようになっているし、勧める相手が増えるほどキャッシュバックの金額は増える。ある程度自分の紹介客が増えて、彼らがコンスタントにＡｍｗａｙ製品を買い続けていれば、何もしなくても結構な金額が振り込まれる。

ので、お金を稼ぐために自分の時間を供出してなくてもよくなり（つまり、やり甲斐を感じられないパート勤めをしなくてもよい）、友人はこれを資金にして何かをやりたいらしい。例えば海外旅行とか、イベントのプロデュースとか。

ちょっと聞くと悪い話ではなさそうなんだけど、お金と引き換えにＡｍｗａｙ製品に囲まれて暮らすのかと思うと、いくら品質のよいものが揃っていると言われても、うへーそれは勘弁、とか思うし、たとえやり甲斐が薄かろうと労働して稼ぐことがそんなに忌むべきものだろうかとも思うし、さらにもうひとつ、お金は確かに大事だし、何をするにも必要になってくることは厳然とした事実ではあるけれど、お金さえあれば何でもできるという考え方にハマってしまうのは恐い。ネズミ講うんぬんは差し引いても、どうもそれはちょっと……と思うのだった。

何より違和感を覚えたのは、友人が借り物の言葉でＡｍｗａｙの宣伝をすることで、どうして「借り物の言葉」かというと、彼女の語ることひとつひとつが、「ああこれは仲間の誰かから言われたことの受け売りだな」というのが透けて見えるからなのだ。確かに雄弁に語っているけれども、それらは彼女が賛同している内容であっても、彼女の内面から湧いてきた言葉ではない。だからいくぶん薄っぺらく感じる。
そりゃ、語る方は気持ちいいだろうけど。

確かにＡｍｗａｙの集まりを通じてさまざまな職種・立場の人に触れることができて、その出会いは自分を育てる肥やしになるだろうけど、肥やしを元にして「あの人の言うことは本当にその通りなんだろうか」と後から自分の頭で考えるようにしないと、頭の中は、ただのコラージュみたいになってしまうよ。