ＳＣ＝ショッピングセンターという場所が好きかも知れないと気づいたのは、物語を書いていて、かなりの頻度で登場させてしまうことに気づいたのがきっかけ。
なかなか使い勝手のいい場所で、どんなキャラクターを放り込んでも浮くことが無く（浮くならそれを逆手に利用する楽しさがある）、あるいはそのキャラクターが公共の場所でどう見えるかで、その性格や人となりがわかりやすく描けるし、事件を起こすにはもってこいだったりするのね。
そして、ＳＣが持つ祝祭的な空気が気に入っている。その昔、ＳＣが「市（いち）」だったころは特に、買い物と祭りは切っても切り離せなかったと思うのね。大勢の他人が交わる場所だから。
「市」が立つ日は月に一回とか、半年に一回とか決まっていて、期間限定だったけど、今のＳＣは無期限でお祭りだからね。パワーのある場所だと思う。

この１０年ぐらい、郊外に巨大なＳＣが次々建てられていて、家人の仕事柄、新店がオープンするたびに１度はチェックに行く。（もちろん楽しみも兼ねて）
どこも唖然とするぐらい広くて、大量の専門店が並び、イベント用の広場が二つ三つはあって、座席数の多いフードコート、ゲームセンターは当然併設、時に映画館がくっついていることもある。老若男女、色んな人が歩いている。友だち連れ、家族連れ、カップル、仕事中かもしれないお姉さんなどなど……。その建物に足を踏み込めばもう祝祭空間。
その一方で、大勢に囲まれながらも孤独で居られる不思議な場所。何て言ったらいいのかな。お金を出せば誰かや何かとつながりを持つことができるけれども、出さなければ傍観者のままだし、店頭に並ぶ品々も、その時に自分にとって価値がないものなら、ガラクタと同じ。大量のモノに囲まれていながら、何もないのと同じ。
そういう二面性を持つところが好きだったりする。

そしてもう一つ。同じ会社が母体になってるＳＣはどれも恐ろしいほどよく似た作り。例えば、昨日は大高のイ○ンに行ったのだが、ふと、自分が名古屋ド×ム前の店舗にいるのか、あるいは上小田井店にいるのか、はたまた三好店にいるのか、分からなくなってくるのだ。建物の構造も入っている店の種類もそれほどまでにそっくり。アウトレットタイプのＳＣも、それはそれで店の顔ぶれとつくりはよく似ている。

消費者はどこまで行っても用意された舞台の上で踊らされてるんだな。と痛感する一瞬。ＳＣはとても分かりやすい例だ。
他にも、例えばロハス生活が健康にいいと言われれば、それ系の店があちこちにオープンしてメディアに情報が流れる。ダイエットに○○がいいという情報が流れれば、たちまちその品がスーパーから消える。どれも根っこは同じなんだろう。用意された安全安心な舞台の上で踊るのが好きな人は多い。

そして、高くて綺麗に飾られたＳＣの天窓や天井を見上げるたびに、自分の妄想世界にあるドーム世界の景色が頭をよぎるのだ。