心のつぶやきを吐き出す裏ブログです。
ブログのプロフィール
〈管理人名〉 O-bake
〈趣味〉 創作とクラシック音楽
〈主な内容〉
創作に関する覚書
ごくたまに掌編を掲載
テリトリーは童話からYAまで
〈お願い〉
時々、言葉が足りないために意味不明な文章があったり、攻撃的な文章がありますが、ここは毒吐き場なので、どうぞ見過ごしてやってください。
〈連絡先〉
管理人へのメッセージは、こちらのフォームからどうぞ
〈本家ブログ〉
びおら弾きの微妙にズレた日々
(一方通行です)
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03 花屋の匂い
拾い喰いのポップコーンで多少はお腹を満足させた子ネコは、街をぶらぶらとさまよう。すっかり日が暮れ、車のライトや店先のライトがまぶしく、店先のBGMと人の声がまじって不思議なざわめきが生まれていた。子ネコは万華鏡に魅せられた子どものような心持ちで街をながめた。
ふと、子ネコは顔をあげた。懐かしいにおいがしていた。それは食べ物ではなく、本物の花の香り。少し先に花屋があった。店先にはスミレに良く似たカラフルな花がいくつも並んでいる。
ついこの間、子ネコが住んでいた家では庭の手入れをした。風のない、晴天の日だった。「母さん」と呼ばれている人間が花壇の古い花を掘り起こし、代わりに新しい花を植える。その花が、まさに今かいでいるこのにおいだった。
子ネコは「母さん」のまわりをうろつきながら、たまに飛んでくる蝶々を追いかけ、土から出てくるミミズをつついては遊んだ。家に上げてもらう時には、嫌と言うほど強く足の裏の土をこすり落とされた。
日数にしてみればほんの三日ばかり前のことだが、子ネコにはずいぶん昔の出来事に感じられた。
子ネコは店先に置いてある特価品のビオラのポットに鼻を近づけた。花の香りにまじって、プンと鼻をつく悪臭が漂ってきた。その正体に気づいた瞬間、殺気だった声が聞こえた。
「シッ! シッ!」
子ネコはダッシュした。離れた場所で振り返ると、年配の女がにらみつけていた。その手にはなぜかホウキ。
「オシッコなんかひっかけたらただじゃ置かないからね!」
そんな真似をするのは犬しかいないと子ネコは言ってやりたかった。飼い猫はちゃんと砂の上で用を足すようにしつけられている。しかし人間にネコの言葉は通じない。ホウキが植木バサミに変わらないうちに退散することにした。
拾い喰いのポップコーンで多少はお腹を満足させた子ネコは、街をぶらぶらとさまよう。すっかり日が暮れ、車のライトや店先のライトがまぶしく、店先のBGMと人の声がまじって不思議なざわめきが生まれていた。子ネコは万華鏡に魅せられた子どものような心持ちで街をながめた。
ふと、子ネコは顔をあげた。懐かしいにおいがしていた。それは食べ物ではなく、本物の花の香り。少し先に花屋があった。店先にはスミレに良く似たカラフルな花がいくつも並んでいる。
ついこの間、子ネコが住んでいた家では庭の手入れをした。風のない、晴天の日だった。「母さん」と呼ばれている人間が花壇の古い花を掘り起こし、代わりに新しい花を植える。その花が、まさに今かいでいるこのにおいだった。
子ネコは「母さん」のまわりをうろつきながら、たまに飛んでくる蝶々を追いかけ、土から出てくるミミズをつついては遊んだ。家に上げてもらう時には、嫌と言うほど強く足の裏の土をこすり落とされた。
日数にしてみればほんの三日ばかり前のことだが、子ネコにはずいぶん昔の出来事に感じられた。
子ネコは店先に置いてある特価品のビオラのポットに鼻を近づけた。花の香りにまじって、プンと鼻をつく悪臭が漂ってきた。その正体に気づいた瞬間、殺気だった声が聞こえた。
「シッ! シッ!」
子ネコはダッシュした。離れた場所で振り返ると、年配の女がにらみつけていた。その手にはなぜかホウキ。
「オシッコなんかひっかけたらただじゃ置かないからね!」
そんな真似をするのは犬しかいないと子ネコは言ってやりたかった。飼い猫はちゃんと砂の上で用を足すようにしつけられている。しかし人間にネコの言葉は通じない。ホウキが植木バサミに変わらないうちに退散することにした。
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