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心のつぶやきを吐き出す裏ブログです。
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〈管理人名〉 O-bake

〈趣味〉 創作とクラシック音楽

〈主な内容〉
創作に関する覚書
ごくたまに掌編を掲載
テリトリーは童話からYAまで

〈お願い〉
時々、言葉が足りないために意味不明な文章があったり、攻撃的な文章がありますが、ここは毒吐き場なので、どうぞ見過ごしてやってください。

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びおら弾きの微妙にズレた日々
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総括シリーズも4回目だし、そろそろおしまいにしよう。
今回は実家が消えた話。

昨年はダンナ氏の実家が焼けてなくなってしまったが、今年は自分の生まれ育った家がなくなるという事態に直面した。立ち退きだ。

うちの実家はずっと一軒家の借家で、両親としては最後までいられるものと思っていたようなのだが、大家さんが道を通すかあるいはマンションをつくりたいと言い出してあえなく立ち退きを申し渡された。


その後両親は新天地を求め、老後のための資金をはたいて小さな一軒家を新築。幸い今自分たちが住んでいるところからは近いので何かと便利になったし、注文住宅を建てるという貴重な体験もし(結局、高齢である父に代わり、娘である自分が業者との連絡&調整&アシ係)、以前よりぐっと住みやすい家(風通しと日当たりがよく、夏は涼しく冬暖かい)で老後を過ごせることになった。敷地内に小さな畑も作れるし、持ち家なのでいちいち大家さんの顔色を伺うこともない。むしろ追い出されてよかったのかもしれない。

それはそれとして、生まれ育った家がなくなるというのは、年をとれば誰しも経験することなんだろうけども、何とも妙な感じだ。悲しいのとは違うし、むしろ清々するくらいなのだが、あの家はもうないと思うたび、内蔵の一部が消えてしまったような感触がする。たとえそこにあまり良い思い出がなかったとしても、そこで経験したこと、培った感性は自分の肉体の一部なのだ。

ただし、自分の故郷と言える場所はとうに消えていたのも事実で、生まれ育った地域は都市化の波が激しく、その昔駆け回った田畑や廃材置き場はもうどこにもない。ドブ川のようだった小さな川さえ地面の中に埋め込まれてしまった。新しい便利な道ができ、子供のころに迷いそうになってたどった神社への細道は面影すらない。何かが棲んでいそうな竹やぶは切り開かれて駐車場になった。最近はもう、実家に帰るたび、知っているのに知らない不思議な世界に踏み込んでしまったような気がした。

こうやって人は少しずつ故郷を内在化させてゆくのだろう。
ずいぶんと年をとったものだ。

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