昨日は申し分のない秋晴れだったから、ドライブに出かけた。行き先は山中の古民家を改造した古書店。縁側で本に囲まれながらのんびりとお茶ができる素敵な場所だ。

開け放された玄関から中に入るとご主人が挨拶してくれた。でも前にお会いしたとき元気いっぱいだった奥さんの声が聞こえない。と思ったら、玄関のわきに置いたソファに沈み込み、熱心にパソコンを打っていた。

なんか空気に違和感を覚えつつ、店内に上がりこんでいつものように本棚を眺めては本のエネルギーを充電する。山の中の古民家だから、とても静かだ。明るい日差しが差し込む穏やかな午後、鳥の声すらなく、時折聞こえるのは川音と風音。

ふと、人の声がする。奥さんとご主人のやりとりだ。細かい言葉までは聞き取らない。でも、言葉じりに何となくトゲがある。犬も食わぬアレの真っ最中かとピンと来た。

幸か不幸か、お客は自分たち夫婦一組だけだ。ほかに何組かお客がいればそのざわめきや存在感に混じってしまって気づかなかったであろう微妙な空気だけに、静けさが少し恨めしかった。

この手のお店は、個人色が強いだけに、店の主の持つ空気がダイレクトに作用する。それが合えば某所にある珈琲ショツプのようにとても居心地の良い店になるし、合わなければどんなによい品揃えだとしてもアウトだ。かといって無色透明では量販店に勝てるものがなくなってしまう。

素敵な空間だけども、ちょっとばかり重い空気を感じつつ、最後、レジで会計をしようとしたら、奥さんがよっこらしょと腰を上げ、急いで出てきてくれた。その身のこなしを見るに、もしかしてお腹にベイビーちゃんがいる？と思い、ひょっとするとそこからくる心身の変化がケンカの元になっているのかもしれないな、と頭の中で勝手に想像が進んでしまった。

ダンナ氏が出したばかりのマニア本を（宣伝も兼ねて）紹介する。すると大変ウケたのか奥さん大爆笑。それでようやくホッとした。笑いは世界を救う（違）